前回は、福岡市の行政職給料表が地方自治法に定める職務給の原則に反しているのではないかとの指摘を行なった。
(1) 給料表の足のばし問題
委員からその旨は指摘されており、今回は具体的にその内容を検証する。
以下は自立分権型行財政改革に関する有識者会議第5回の資料1における4ページおよび5ページをベースに筆者が実態を把握するために加工した資料である。
【表1】を見てほしい。4級(総括主任)には国の最高俸給を超える支給を受けている職員が何と69.1%にも達しており、「足のばし」の実態が見てとれる。国であればキャップがかかる355,900円を超えてなお毎年度昇給し、最終的には416,400円になるまで毎年度昇給していく(係長に昇格しなくとも毎年度4号給ほどがほぼ自動的に昇給することは会議における市当局の発言によって明らかになっている)。
このことに関する市当局の答弁は以下のとおりである。
(2) 特別昇給問題
さらに、福岡市には55歳となった職員のほぼ全員を特別昇給させる悪しき運用が存在することも明らかになった。
特別昇給の制度は福岡市職員表彰規則で規定されているもので、永年勤務に精励し、勤務成績が良好な者に表彰を行うこととなっているのであるが、この表彰の方法として「昇給」が規定されているのである。
つまり、表彰によって基本給が上る、基本給をベースにした退職金が上るというダブルでのおいしい制度なのである。この点、適正な運用によって真に頑張った人のみが表彰され昇給するのであればいいのであるが、直近の平成23年には55歳の人が349人いて、そのうちこの制度に基づいて特別昇給をしたのが326人で93%にものぼっている。ほとんどすべての職員が昇給するように運用しているのである。これもぜひ是正をしなければならない制度である。
(3) 手当
このほか、手当問題として他市では既に廃止されている住宅持家手当や、他市に比べて手厚い扶養手当など様々な市職員への優遇策が明らかとなっている。
市はこれらについて見直す方針を示しているが、その具体的内容・時期については明らかにしていない。
このように、福岡市職員のおいしい給与制度が次々に明らかになっている。市民感覚からは納得できるか否かについてはそれぞれの価値観によるものと考えるが、少なくともこの財政状況が厳しい福岡市市政においても市民が納得と共感をえることができるようにきちんとした対応をお願いしたい。
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